創作するとき、あなたはまず何から始めますか?
・構図やテーマを考える
・参考イメージを探す
・それとも、いきなりAIにプロンプトを打ち込む?
多くの人は“何を作るか”を言葉にしようとします。
でも、本当の創作はその前――
「なぜそれを作りたいのか」という問いから始まるのかもしれません。
AIが数秒で作品を生み出す時代になり、SNSでは
「最速で作れるプロンプト」「○○風自動生成テンプレ」など、
効率重視の情報が主流になりつつあります。
しかし、どれだけ速く、どれだけ高クオリティで作れても
“温度”や“意図”が宿らないアウトプットは、ただの複製に近づいてしまいます。
AIをうまく使いこなす人より、
AIに何を託すかを言語化できる人が選ばれていく。
これまでの記事では、
AIと“共創”する時代の考え方(概念)
AIイラストで感情を伝えるプロンプト術(技術)
――という2つの視点をお届けしてきました。
本記事ではその “間” にある
制作プロセス=創作における思考の在り方を深掘りします。
💡効率化だけを求める時代から、
“人とAIのあいだで生まれる創造” を育てる時代へ。
この先では、“問いから始める創作”という視点を軸に、
AIとの共創をただの効率化ではなく、表現を深めるプロセスへと変えるヒントを探っていきます。
AIを「使う」のではなく「共に考える」
AIをツールとして使うと、アウトプットは指示の範囲を出ません。
「〇〇風でお願いします」「こういう構図で」
→ AIは正確に再現します。
→ でも、そこに“体温”は宿らない。
一方、こんなふうに問いかけてみると……
「今日、なぜこのテーマを描きたいと思ったんだろう。
少しだけ切なさがある。
夏が終わる直前の、まだ何も変わっていない時間の感じ。
その温度を絵にしたい。」
AIは混乱するかもしれません。でも、それでいいのです。
プロンプトは“指示”ではなく、“最初に心と向き合うための言葉”になった瞬間、“創作”が始まります。
構成ではなく「温度」から始める
まずイメージではなく、“空気”や“温度”を描写してみてください。
例)
夕暮れ直前の午後4時。
まだ暑さが残っているのに、風だけが少し秋を連れてきたみたいで。
人通りはないけれど、さっきまで誰かがいた気配が残っている。
この段階ではプロンプト化しません。
“絵ではなく感情を説明している”と思う人もいるでしょう。
でも――その言葉が、AIに渡す最初の鍵になります。
そこからプロンプトに変形するなら、こう。
“the moment just before summer turns into autumn,
gentle wind, quiet street, lingering presence,
soft pastel lighting, cinematic, 16:9″
試行錯誤ではなく「対話」と捉える
AIとの制作は、多くの場合「やり直し」や「修正」の繰り返しです。
でも、それを “作業” と捉えると疲れるだけ。
「いい感じだけど、もっと余白がほしい。
感情は語りすぎないほうがいい。」
→「了解しました。どの感情が一番強く残っていますか?」
→「“これでいいのかな”って迷いを、光で表現してほしい。」
こんなふうに、一人きりではたどり着けない角度に進むことがあります。
AIは共感しません。
それでも――人が丁寧に言葉を重ねれば、その感情の“輪郭”だけは、絵にすることができる。
創作者が持つべき3つの視点
1.「完成を目指す」のではなく、「問いを深める」
→ 完成時間ではなく、向き合っていた時間に価値がある。
2. “構図”より先に“感情の核”を言語化する
→ 例:「何かが終わりかけている」→ 夕暮れの影
3.AIは感情を理解しない。でも表現はできる
→ 感覚=人間 → 再構築=AI → 仕上げ=人間
→ この循環が“共創”
思考例:作品の前に立つためのことば
以下はプロンプトではなく「制作前の言葉」です。
こういう一文を残すだけで、AIへのプロンプトも自然と整います。
作品に込めたい情緒:
―― 光は柔らかいのに、輪郭だけ少し鋭く見える瞬間。
―― もう少しだけここにいたいと思った、夏の終わり。
―― 「このまま歩くのか、それとも立ち止まるのか」迷う少女。
この一文から構図・色・人物が立ち上がってきます。
まとめ|完成より、「問い続ける時間」を大切に
AIは、指示されたことに対して最適解を出すことに長けています。
しかし、「そもそも何を問いかけるか」――その出発点を決めるのは、やはり人間です。
プロンプトを組み立てる前に、
構図や色味を考える前に、
まず立ち止まり、静かに自分に問いかける。
「私はなぜ、それを作りたいのか?」
その問いが明確になったとき、アウトプットはただの生成ではなく、創造へと変わります。
AIは「答え」を出す存在です。
だからこそ、人間にしかできないのは――
その手前で「問い」を立てること。
何を描くかよりも、なぜ描くのか。
そのたった一つの問いが、
AIとの共創を、ただの作業から「創造」に変えていく。
あなたは次に、何を問いかけますか?
🔗参考記事リンク

